ICTを活用した事例も様々目にするようになりました。最近はChatGPTの活用事例も見かけるようになりました。
国語科でもイメージ画像を描かせて、解説を書かせたり、創作した文章を載せたりすることもありますね。
今回は短歌の創作に手軽に抵抗感なく取り組み、お絵かきの部分をAI画像生成アプリで描かせて、短歌に親しむ、AI画像生成に親しむ、お楽しみ企画の取り組みを報告します。
短歌の創作を手軽に楽しむ授業案
私自身、短歌の創作の指導を本格的に経験したことは数少ないです。
一度、本格的にやろうと思って、実践例を探したり、短歌創作に関わる書籍を読んだりして、勉強しました。しかし、本格的に取り組もうと思ったら、かなりな時間数を必要としてしまいます・・・。
こうなると、いつまでたっても短歌創作の授業ができなくなってしまう・・・もう少し、シンプルに気軽に取り組めないだろうか、と思い、30分程度でできる授業案を考えました。
1 まず言葉を出してイメージづくり
まずは「今の気持ち、思い、マイブームを言葉にしてみよう」ということでブレインストーミングを行います。
今の気持ちをつぶやいてみる、ということ自体が難しいと思いますが、指導者の気楽な親しみやすい例があると、結構気軽に取り組むと思います。
私はこのように、ロイロノートのカードに今の自分の「トレンド」の語句を適当に、いい加減に並べて紹介しました。できるだけ、ハードルを下げました。
2 感動や発見を中心に据える
そして、その言葉から文を「適当に」書いていくことにしました。
「適当に」=感動、発見、気持ち(=喜怒哀楽)などとしました。このときは、中学2年生対象の授業だったので、中学2年生になったつもりで、例を挙げました。
3 キーワードで遊ぶ
出てきたキーワードでおもいつくままに文を綴っていきました。独り言みたいな、ものです。
その独り言から、5・7・5・7・7の定型に当てはめていくと・・・それらしいものができます。
●灼熱のなんちゃらといえば美化されて ブラック部活もホワイト部活
ホワイトとブラックを対比させました。
●「君たちはどう生きるか」なんて問われても誰のせいだよ大人のせいだ
はやりの映画のタイトルを中学2年生の批判的な目線で表現しました。
●夏休み朝からアラート引きこもりなんもしたくないなんもなんも
あまりにも暑い夏を堕落的に過ごす思春期の生徒像を描いてみました。字足らずで投げやりな感じを出しました。
短歌のイメージ画像をCanvaのアプリでAI生成する方法
ここまででも良いのですが、やはりイメージ画像を付けた方が、人の目を引きつけて、見てもらえます。そこで、イメージ画像をAI生成させてみました。
使用したのはCanvaのText to Imageというアプリです。
まず、Canvaのアカウントを取得し、試しに以下のデザインを選びます。
そして左のナビゲーション画面からText to imageというアプリを選びます。
そうするとこのような画面になるので、プロンプト(指示文)を入れます。できるだけ詳しい方が良いですね。背景色とか、誰が何をしているとか、どんな姿勢なのか・・・とか。語彙力が求められます。そこで、こういう風にプロンプトを入れてみました。
●灼熱のなんちゃらといえば美化されて ブラック部活もホワイト部活
プロンプト
写実的で、8KでHQ、オレンジ色の背景、 熱波の野球場の中で、野球をしている15 歳ぐらいの高校生が疲れて腰を曲げて立っ ている。
スタイルもいろいろ選べます。黄色の枠をクリックすると増えます。
今回はコンセプトアートを選び、イメージを生成というボタンをクリック。すると4枚画像が出てきます。
気に入った画像をクリックすると、右のデザイン画面に画像が移動します。それをダウンロードして使用します。
今回はこのような形にしてモデルとしてスライドで説明しました。
その他にも、別の短歌でプロンプトを入れて、水彩を選ぶとこうなりました。
プロンプト
写実的で8KでHQ、熱い真夏の町中の風景、たくさんの人が横断歩道を歩いている。蜃気楼で風景が揺れている。
自分の思い描いたイメージで、夢中になって作り始めます。一つ一つの言葉にもこだわるので、言葉を紡ぎ出す時間となります。
このまま短歌と画像を組み合わせてカードで提出をさせて、みんなで閲覧会もできます。
AI活用のガイドラインを事前に共有する
実際は、この授業に入る前にAI使用のガイドラインを説明しました。
「初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン」の
作成について(通知)」という令和5年7月4日付けのものから一部抜粋し、まとめてみました。
https://www.mext.go.jp/content/20230704-mxt_shuukyo02-000003278_003.pdf
■適切な例
▽グループ学習で考えをまとめる途中段階として、足りない視点を見つけるために活用すること。
▽英会話の相手として使うこと。 ▽情報モラル教育の一環として教師が 生成AIの誤った回答などを使用し、その性質や限界について気づかせること など
■適切ではない例
▽生成AIのメリットやデメリットなどを学習せずに子どもたちに使わせること ▽読書感想文などのコンクールやレポートを提出する際、生成AIがつくったものを自分の成果として提出すること ▽定期考査や小テストなどで子どもたち に使わせること
■今後必要なこと
▽情報の真偽を確かめるファクトチェックなどの教育活動を一層充実 させること
▽教員のAIリテラシーを向上させる こと
生徒は「生成AIがつくったものを自分の成果として提出すること」がNGだということを理解してからのスタートになりました。
安直な態度に陥らず、ガイドラインを守ることを意識したので良かったと思います。
おわりに
お手軽に楽しむ企画にしました。そのため、短歌の仕上がり具合など、まだまだ課題はあります。しかし、短歌を創作するという貴重な機会を設けることができました。この体験を思い出して、もし、将来、ふとしたときに短歌を作ってみようと思ってくれたら・・・とてもうれしいです。
そしてAI画像生成は、思い切ってのチャレンジでした。私自身は楽しかったのですが、ただ、教員が慣れていないといけないことは確かです。
これからもAIリテラシー向上に精進し、AIを活用していくことで新しい価値を生み出す未来の生徒を育てていくようになると見越して、しっかり勉強していかねば・・・と思います。