「グラフィックファシリテーション」という言葉をご存じですか。
「グラフィックファシリテーション」の他に、「ファシリテーショングラフィック」「グラフィックレコーディング」という名前もあります。
Wikipediaによれば、簡単に言うと、
「何について(議論の対象)、どのように(議論の構造)話しているか」参加者の認識を一致させるために、発言を記録・図式化したもののこと。
ということになります。
具体的な作品を挙げます。
私が2019年に参加したedcamp広島でのセッションの模様を記録したものです。
今回はグラレコとか、グラファシとかいわれるものが、どのように国語の授業で活用できるのかについて、まとめてみました。
グラフィックファシリテーションとは
箇条書きでコンパクトに整理してみました。
●模造紙や画用紙、ホワイトボート、タブレットの描画ソフトなどを用いる。
●何人かが集まって、なんらかの話題を元に解決策を話し合ったり、議論したりする際の意見や論点を図式化・構造化して整理する。
●ファシリテーター役の人がリードしながら書いていくことが多いが、参加者がその場その場で自由に話を整理し、記録しながら進めていくこともある。
その効果としては、Wikipediaにこうありました。
話の流れを俯瞰でき、論点がわかりやすくなる。
Wikipediaより
触発されて新しい意見やアイデアが生まれやすくなる。
感情的な論争をさけることができる。
冗長な発言や繰り返しを減らすことができる。
ファシリテーターには必須のスキルですね。
けれど、授業を行う際にも、意見を出すよう促し、図式化、構造化し、論点を整理し、解決策を導き出したりしています。
つまり授業者にとっても必須のスキルなのではないでしょうか。
グラフィックファシリテーションの基礎的スキル
それでは、グラフィックファシリテーションをするには、どういうスキルが必要になってくるのでしょうか。
(1)簡単なイラストの形をマスターする。
まずは簡単なイラストの型をマスターすると良いでしょう。
具体的な例を示します。
こんな風に簡単な形を添えて文章を書いていくだけでもかなり内容をまとめていくことができます。
まずは自分のお得意パターンを3つぐらい持つと良いでしょう。
(2)吹き出しを効果的に使う。
話のまとまりを吹き出して囲むと、注目を集めますし、他の話題との関係も示すことができて構造化しやすいです。
こんな感じで、対話的にしてみると、コンパクトになって話の筋を捉えやすいですね。
重要なところにマーカーで印を付けてみました。
(3)「落とし所」のスペースを空けておくよう意識して配置していく。
これはかなり難しいと思いますが、その話題がどこに落ちていくのか、それを見極めて、それを書き入れるスペースを確保しておくことです。
このグラレコは2019年edcamp広島で参加したセッションでの私のグラレコですが、出発点が地域、学校、子ども・・・となっていったので、これは地域→地元自治体→日本→国際社会・・・とつながっていくかもしれないと考え、スペースを意図的に空けました。
結果的にはSDGsまで話が広がってしまい、予想以上に視点が広くなりました。
参加者の皆さんの意見や気づきを位置づけること、話の流れを筋道立てること・・・かなりなスキルを必要とします。
日頃から話を筋道立てて捉えたり、背景となる社会問題について理解を深めておかないといけませんね・・・
授業での活用方法
それでは、このグラフィックファシリテーションの技術はどう授業で活用できるのでしょうか。
それはズバリ、板書スキルです。
グラフィックファシリテーションは対話型の授業で非常に活躍すると思います。
以下の図は私が実際授業で作成した板書計画です。
いろいろな要素を筋道に沿って配置しています。
授業ではこのような板書計画を持っておいて、授業ではその場に会わせて、加筆したり、修正したりしています。
これを数多くやっているので、多様な話し合い活動の中で、グラフィックファシリテーションを行うことができるのです。
逆もまたしかりで、講演会、研修会、そして読書の場面でも、グラフィックファシリテーションを行っていれば、板書にも活かせるというわけなのです。
まとめ
簡単にグラフィックファシリテーションについて説明してみました。
マスターするには、研修会などに参加したとき、紙とペンで実際に話を記録してみることを何度も行うとか、実際に板書を構造型の板書にしてしまうこととか、繰り返していくことですね。
情報化社会になって、素早く情報を収集し、選択し、分析して、多様な人々と意見を集約して合意形成をしていく時代になりました。
ビジネスの世界でもファシリテーターとなることが求められています。
グラフィックファシリテーションは国語の授業にもリンクしているので、是非取り入れて、ファシリテーターとなるスキルを今のうちから生徒にイメージさせておくことは、未来を生きる生徒にとって重要なことではないかと思います。
そうこうしているうち、生徒の方が行事などの企画・運営の話し合いで、自然にグラフィックファシリテーションをやっている・・・というのが理想ですね。
教える側がやってみせることで、生徒にもそのイメージを次第に植え付けていくことになり、イメージが持てると生徒自身もやってみようと思えるようになる・・・のではないか、そのためにも板書など、国語の授業でグラフィックファシリテーションをやっていく意義は大きいと思います。