心折れる新採の先生への応援

授業デザイン

4月、5月と過ぎて、慌ただしい学校生活が回り始め、Twitterでも新任の先生の「1年でやめる」などのツイートを見かけるようになりました。

大きな夢と希望を持って、教壇に立った若い先生たちが、非常に悩み、苦しむ様子を見ると、胸が痛みます。

どうやったら、その悩みや苦しみが少しは和らぐのか、私自身の長年の経験から少しでも助けになれば、と思い、書いてみたいと思います。

新採の先生の悩みの背景

新採の先生の悩みの背景にはどんなものあるのか、SNSの文章を読んで分析してみました。

1 あまりにも多くて重い仕事量

授業の準備、生徒対応、保護者対応、学年会、校務分掌、部活動、職員会議、会計処理、事務処理、などなど、ものすごい物量の仕事が降ってきます。

慣れない環境で、新採とはいえ、一人前の先生としての扱いからスタートするのですから、多少のサポートがあるとしても、とても大変です。

まず、この仕事量の多さはベテラン教員でも四苦八苦しているのですから、新採の先生が処理できないのも無理はありません

2 経験もないのに厳しい生徒実態に対応していかなければならない重責

そして、社会の変化に伴う複雑化した問題に伴って生徒実態も多様化しています。

保護者の学校に求める要求も高くなってきました。

学校組織としての取り組みと、生徒の指導、保護者の要望とを摺り合わせながら、問題解決をしていかなければなりません。

はっきり言って1年目には無理なんじゃないでしょうか。

小学校の先生は新採ですぐに担任になるということもあり、大変だと思います。

3 保護者や先輩の先生によって精神的に追い込まれている状況

そして未熟な対応を、保護者や先輩格の先生から、あれこれと指摘される毎日。

本人は本人なりに考えてやっていることが、現場の独特の文化や、保護者や先輩の先生の価値観に合わない事も多く、いろいろと指摘を受けることが日々繰り返されていくのです。

これではメンタルをやられるのも当たり前です。

新採の先生のせいではない

結論的に言って、「新採の先生は全く悪くない」です。

悪いのは、こんなにも多忙でこんなにも問題が複雑で広範囲、かつ深刻な生徒実態になってしまった教育現場なのに、基本的なシステムは30~40年も変わらない学校現場なんです。

普通の民間企業なら、いきなり「担任」「授業」「保護者対応」みたいなことがありません。

きちんと人材を育成するシステムも人的配置もないままに放り込まれているのです。

これでは特別な能力の高い人以外、適応することはできないですよね。

それなのに、それ相応の結果を求められる・・・。

これは異常だと思うのです。

ではどうしたらいいの?

でも、そんな中、どうしたらいいのでしょうか?

私も悪戦苦闘してきました。厳しい生徒実態の学校を歴任してきました。

私ほどのキャリアの人はなかなかいません。

新採の時から、教育困難校 2年 定時制3年 教育困難校10年

新採から15年間、厳しい生徒実態の学校にいました。

泣いたことも、放り投げたかったことも、逃げたかったこともありました。

どれほどやめようと思ったことでしょう。

どうにかやめなくて済んだのはなぜかを分析してみました。

1 元々の性格がおおざっぱで外交的

人よりは鈍かったです(汗 

それから人に何でもしゃべる・・・・。これは大きな要素だったかもしれません。

とにかく、心を開いて、いろんな人と関わるようにしましょう。

2 愚痴を言いあう仲間の存在

これは恵まれていました。

大量採用時代だったので、同じような境遇の人があちこちにいて、みんなで愚痴っていました。

是非、同じような立場の仲間を作るようにしましょう。

最近はSNSでも積極的に仲間を作れますよね。

3 どうにもならない問題は早めに信頼できるベテランの先生に相談

信頼できるベテランの先生」の存在。

これに尽きます。そういう人をよく観察して、頼るしかありません。

うちの娘も小学校の教員をしていますが、大抵行き詰まったら、こうアドバイスして、その都度助けられています。

「信頼できる」先生を見抜くのも大変ですが・・・

4 気分転換できるモノを持つ

音楽を聴いたり、お菓子作りに没頭したり・・・

一番良いのは運動でした。頭を切り替えるのは一番運動が良いようです。そんな暇ないと思いますが・・・。
ゲームでも動画視聴でも良いと思います。完全に頭を切り替えるのです。

5 学校全体の問題にしてもらう

上記のことでもどうにもならない場合、そういう場合が大半だと思いますが、もう学校全体の問題にしてもらう勢いで動いてください。

どうせやめようと思っているなら、やるだけのことはやるのです。

管理職に相談してください。その場合、自分のベストを尽くしていることをきちんと並べましょう。

精神的に追い込まれているのなら、心療内科受診も考えていると添えましょう。それぐらい現場は厳しいのです。
私も大きな問題にすればするほど、周囲の先生が協力してくれて、非常に精神的に落ち着きました。
学校組織で取り組んでいる、ということが孤立感を生まないで、同僚に支えられているという気持ちになり、なんとかやっていけたと思っています。

そんなことやってもうまくいかないのは、学校自体の組織力が低下している証拠でしょうね。

だって、教員不足で、管理職の先生が授業をしているくらいなので・・・

まとめ

こんなにカリキュラム過積載で、教員の仕事が複雑多様になり、さらに生徒実態も年々厳しくなっている教育現場では、もう1学級20人じゃないと小学校、中学校は立ちゆかないのではないでしょうか。

あなたは悪くないです。

悪いのは、教育現場の実態の厳しさです。

それゆえ、若手が現場を去って行くのを無理に引き留めることはできません・・・・。残念で仕方ありません。

せめて教育の最重要条件である、教員の待遇が早期に改善されるよう、こうやって記事を書くしかないです・・・。

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