パフォーマンス課題の作り方の実例~「折り本」を作って手軽にシェア

授業デザイン

授業でパフォーマンス課題を作るとき、どんな方法で共有しますか?

パワーポイントやワードなどのICTツールを使う人も多いでしょう。

でも、ICTツールには限界もあります。

  • 機器やネット環境が必要です。
  • 画面だけでは伝わりにくいこともあります。
  • 保管や管理が面倒です。

ICTばかりでは、ちょっと飽きてきたかな・・・という場合もあると思います。そこで今回は、紙一枚で簡単に高等学校国語科の授業を例にパフォーマンス課題をシェアできる便利な小技、「折り本」を紹介します。

「折り本」とは?

折り本とは、紙一枚を折って切って本の形にする方法です。

上の画像でまずは御確認ください。

この方法は、小学校から高等学校、大学まで使えて、紙さえあれば、誰でも簡単にできます。

折り本のメリットはたくさんあります。

  • 紙一枚あればできます。
  • 誰でもできます。
  • 時間も余りかかりません。
  • ICTがなくても、簡単にシェアできます。
  • 色々な場面で使える汎用性があります。

この記事では、折り本の作り方と実践例を紹介します。

ぜひ参考にしてみてください。

折り本の作り方

(1)紙を用意する

折り本の作り方はとても簡単です。

必要なものは紙一枚だけです。A4またはB4の紙がおすすめです。

小学校などは字の大きさからいって、A3やB4の方が良いと思います。A4はかなり小さくなります。

(2)折り目を付ける

図のように折り目を付けます。

本に組み立てたとき、多少ずれが生じるので、それを最小限にするためにも、折っては開き、折っては開きを繰り返した方が良いです。

(3)切り込みを入れる

青い線の所にはさみで切り込みを入れます。ポイントは、この○を付けた部分の1ミリ外まで切り込みを入れることです。そうすることで折りやすくなります。

(4)本の形に組み立てる

次に組み立てるのですが、ここが知恵の輪みたいで面白いですね。

中学生や高校生は、簡単に説明して、様子を見ておきます。

すると、最初にできた子が友だちに説明し始めるので、手間いらずです。

小学生は・・・ちょっと手がかかると思いますが(汗

(5)本の完成

表紙、裏表紙を含めて、8ページの本が完成しました。

見開きで使用することもできます。

(6)左綴じと右綴じのページ番号

左綴じか、右綴じかは、横書きにするか、縦書きにするかで違ってきます。

最初にページ番号を印刷してから配付すると混乱が少なくて良いと思います。

折り本の実践例

ここでは、高校3年生の現代文で折り本✕KP法に挑戦した例を紹介します。

KP法とは

KP法とは、文章を読むときに以下の4つの視点で分析する方法です。

  • K:キーワード(文章の中心となる言葉)
  • P:ポイント(文章の主張や結論)
  • K:キーパーソン(文章に登場する人物や立場)
  • P:プロセス(文章の展開や流れ)

こんなにたくさんの情報を分析することは不可能なので、まずはキーワードと主張に注目して理解するように、指導しました。このときの生徒は、総合的な探究の時間に取り組んでいたので多少慣れていました。

現代文の評論文の成果物として活用してみた

今回、「人はなぜ働かなくてはならないのか」という評論文に高校三年生で取り組みました。

生徒にとってはかなり難しい評論文です。

内容をつかんでもらうだけでかなりなハードルの高さ。

文章の内容を理解してもらうのに、ある程度こちらの講義式の授業にならざるを得ず、受け身のままで終わってしまわないような工夫が必要でした。

要約の文章を書いてもらうことも考えましたが、それだと教科書を写して終わってしまう心配もありました。字ばかりが並ぶことに抵抗を示す生徒が多いことも懸念材料でした。

そこで折り本を成果物として作成することにしました。

字ばかりでも良いし、図式やイラストを入れてもいい。

折り本にするということで、すぐにいろいろな人に見られるという意識が働くので、生徒は読み手を意識して多少なりとも主体的になるのでは、と考えました。

予想通り、集中して取り組んでいました!!

実際の作品

作品を紹介します。(許可は取りました)

最後の「飛び出す絵本」並の工夫には驚きました。

さすが若者は頭が柔らかいですね~

各自が自分の表現しやすい方法、構図で取り組んでいました。

中には文章で表現している生徒もいました。原稿用紙よりも読みやすかったです。

反省と課題

やはり細切れの語句が並ぶばかりで、本当に本文の筋道が理解できていたのが、複雑な言い回しのところが捉えられていたのか、については疑問が残る形となりました。

しかし、この工夫がなかったら、評論文の内容は理解できていなかったのではないでしょうか。それを考えると、取り組んだ価値は大いにあると思います。

まとめ

折り本にはまたさらにいろいろな可能性を感じます。

文語文法の助動詞の意味を覚えるドリル
故事成語のストーリー紹介
総合的な探究の時間の振り返り(1年間の取り組みストーリー)
小説、短歌、俳句、詩、古典などの創作
評論文や小論文の要約や解説

そのほかに、思考ツールなどもあらかじめ印刷して渡しておくと、面白いかもしれませんね~

折り本にした後、また紙一枚にもどして、クリアファイルに保存しておくこともできそうです。

ICTのデジタルの便利さと、紙媒体の便利さと、うまく使い分けて授業で工夫していきたいですね。

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