生徒の個性を最大に引き出す志望理由書指導のコツ~合格を目指して~

授業デザイン

受験シーズンが近づくと、志望理由書指導が忙しくなります。私は過去、高等学校の総合学科に勤務している時代、総合型選抜や推薦受験が多く、生徒の志望理由書指導に力を入れてきました。その結果、生徒の合格率も上がり、自分自身も教師として成長できたと思います。

しかし、志望理由書指導は簡単なことではありません。生徒の個性や志望校の特徴を捉えて、魅力的な文章に仕上げるには、多くの時間と労力が必要です。私も最初は手探りでしたが、色々な経験を通して、自分なりの指導方法を確立してきました。

今回は、私が実践している志望理由書指導の方法をご紹介します。

リアルな体験に基づいているので、より実践的です。

生徒と共に成長するために、参考にしていただければ幸いです。

1 ハウツー本は基礎基本


志望理由書指導を始める前に、まずはハウツー本を読んでおくことをおすすめします。志望理由書に必要な要素やポイントを押さえておくことが大切です。

私は本も読みましたが、学研教育みらいさんと、第一学習社さんの教職員研修会でみっちり勉強しました。特に学研さんは10年間、研修会には毎年参加しています。

amazonで検索したら色々出るので、自分のフィーリングに合ったものを選んではいかがでしょうか。

構成としては、

決意表明
きっかけ
社会的意義
その大学で学びたいこと
まとめ

といった要素が入ってくると思います。順番は必ずしもこの順番でなければならないということは無いと思いますが、この順番は生徒にとって書きやすいと思います。

2 大学の情報収集をしっかりと

アドミッションポリシー(求める学生像)をずらさない


非常に大事なのが、志望大学の情報収集です。

アドミッションポリシー(求める学生像)はもちろんのこと、大学のカリキュラムや取り組みなどを知っておくことは重要です。

そして、生徒の志望と、その大学のアドミッションポリシーをずらさないこと。これは絶対です。

過去に教育学部でないのに、教員志望だと志望理由書に書いた生徒がいましたが、ほとんど落ちていました。学部学科が欲しい生徒像と食い違っているのですよね。

当然のことながら、ホームページやパンフレットは生徒にしっかり熟読させましょう。

大学の先生から欲しい生徒像を引き出す

その大学がどんな生徒を欲しているのか、大学の先生の生の声に勝るものはありません。

私はよく大学説明会に出席して、公の場で質問をしたり、説明会後に大学の先生に名刺を渡し、質問をしていました。(それとなく遠回しに聞くようにしていました。ほとほとんど営業マン的な感じですね。)

やはり人に会うと、有益な情報が得られます。この大学は元気の良い男子生徒が欲しいのだな・・・(明らかにそう明言されるのではなく、それらしい様子がうかがえるのです)とか、リーダーシップというキーワードが頻出するな、とか。

その他にも色々な情報を元に、大学の先生が「こういう生徒が欲しいな」と思わせるものを志望理由書に仕込むことに気をつけています。

3 生徒との対話を繰り返し、生徒の持ち味を引き出す


そして最も重要なのが、生徒との対話。ここに最も時間を割きます

最初に志望理由書を持ってきたら何も書かず読むだけ

生徒が最初に書いてきた志望理由書ははっきり言って、ほとんど使い物になりません

ほとんどの生徒の志望理由書には赤添削などはせず、しっかり読むだけ読んで、何も書かずに真っ白のまま、対話に突入します。

生徒は頑張って書いた志望理由書に何の赤い字も入れてくれないので、非常に怪訝そうな顔をしていますが。

対話に次ぐ対話でその子の「ストーリー」を紡ぎ出す

そしてとにかく質問攻めです。

  • 小学生の頃、どういう子だったか
  • 部活動
  • ボランティア
  • 好きな教科、
  • 夢中になったこと
  • 将来の職業
  • 課題研究のテーマ

どんどん質問していくと、その生徒の核とか、持ち味というものがだんだん明確になっていきます。そして、その子の「ストーリー」を組み立てていきます。この「ストーリー」が一番の肝です。

その「ストーリー」完成のため、志望理由書の提出が1,2ヶ月先であって、必要ならば、ボランティアやインタビューなどに行かせることもあります。

「ストーリー」はその子にしかないものです。志望理由書のお手本などが本に載っていますが、どっかで見たような誰でもかける志望理由書は面白くないです。

読んだ後、その子に会ってみたい、と思わせるような志望理由書であることを心がけています。

4 志望理由書は面接とセットで考える


入試に面接があるのであれば、面接とセットにして考えていきます。

面接で聞かれたら困ることはなるべく書かないようにしますし、聞かれることを想定してエピソードを入れます。またわざと余り書かずにぼかして書いて、逆にそこを面接で聞いてもらうように仕組んだりもします。

志望理由書には生徒が答えられないことは入れ込まないようにすることが重要です。

5 デジタルで書く

志望理由書は何度も書き直すので、最近は生徒にWordなどでデジタル化するように言っています。最近は、GoogleworkspaceでGoogleドキュメントを共有して添削ができるようになりました。

その方が圧倒的に時間効率が良いです。

書いたら前の文章を上書きしないで、リネームして保存するように言います。前の表現の方が良かったということがあるからです。

自宅にパソコンがない生徒はスマホでメモ帳にフリック入力で書いています。フリックの方が早い生徒もいます。

生徒はメモ帳に書いた文字の字数計算をするアプリまでちゃんと入れてやってます。さすがデジタル世代ですね。

6 字句の訂正はほどほどに


ここまで話し合っていくと、生徒は自分の力である程度書くことができます。そうなると、一文を短くしたり、語句を入れ替えたり、補ったり・・・とここで初めて添削が始まります。

でも添削しすぎると、大人の書いた文章になってしまいます

またその生徒の情熱のこもった表現も生かされなくなってしまいます。

多少未熟でも高校生らしい荒削りな表現はそのまま残しておくことにしています。

7 丁寧な字で清書する


あたりまえなのですが、丁寧で大きめ、濃い字で書かせます。

罫線がかかっていることが多いので、一度、自分の字で書かせて、横一列何字取るか、計算させて、デジタルで字数と行数を合わせて下書きして清書が一番早いですね。

大学の先生は老眼が入っておられる方も多いと思うので、丁寧で大きな字は非常に好印象です。

まとめ

かなり実践的なハウツーを紹介しました。まとめてみます。

1 ハウツー本は基礎基本

2 大学の情報収集をしっかりと

3 生徒との対話を繰り返し、生徒の持ち味を引き出す

4 志望理由書は面接とセットで考える

5 デジタルで書く

6 字句の訂正はほどほどに

7 丁寧な字で清書する

現場で必死になって取り組んだ人にしか書けない事だと思います。

このことを通して、生徒も成長し、合格を勝ち得て、私自身も生徒を見る目が変わり、教師として成長しました。

少しでも参考になれば幸いです。

なお、事例としては次の記事をどうぞ。より具体的に指導の内容が書いてあります。

タイトルとURLをコピーしました